オブジェクトは丁度1つのインスタンスを持つクラスです。 それはlazy valのように参照された際に遅れて作られます。
トップレベルにあるオブジェクトは、シングルトンです。 クラスのメンバーやローカル変数としてのオブジェクトは、lazy valと全く同じように振る舞います。
シングルトンオブジェクトの定義
オブジェクトは値です。オブジェクトの定義はクラスのように見えますが、キーワードobject
を使います。
object Box
これはメソッドを持つオブジェクトの例です。
package logging
object Logger {
def info(message: String): Unit = println(s"INFO: $message")
}
info
メソッドはプログラム上のどこからでもimportすることができます。
このように便利なメソッドを作ることはシングルトンオブジェクトのユースケースと同じです。
他のパッケージでinfo
がどのように使われるか見てみましょう。
import logging.Logger.info
class Project(name: String, daysToComplete: Int)
class Test {
val project1 = new Project("TPS Reports", 1)
val project2 = new Project("Website redesign", 5)
info("Created projects") // Prints "INFO: Created projects"
}
import文import logging.Logger.info
により、info
メソッドが見えるようになります。
import文には取り込むシンボルへの”変動しないパス”が必要であり、オブジェクトは変動しないパスとなります。
注意:object
がトップレベルではなく他のクラスやオブジェクトにネストされている時、そのオブジェクトは他のメンバーのように”経路依存性”があります。
これは2種類の飲み物class 牛乳
とclass オレンジジュース
が与えられた場合、クラスメンバーのobject 栄養素
はそれが属するインスタンス、すなわち牛乳またはオレンジジュースのいずれかに依存することを意味します。
milk.NutritionInfo
はoj.NutritionInfo
とは全く異なります。
コンパニオンオブジェクト
クラスと同じ名前のオブジェクトはコンパニオンオブジェクトと呼ばれます。 逆にそのクラスはオブジェクトのコンパニオンクラスと呼ばれます。 コンパニオンクラスやコンパニオンオブジェクトは自身のコンパニオンのプライベートメンバーにアクセスできます。 コンパニオンクラスのインスタンスに特定されないメソッドや値にはコンパニオンオブジェクトを使います。
import scala.math._
case class Circle(radius: Double) {
import Circle._
def area: Double = calculateArea(radius)
}
object Circle {
private def calculateArea(radius: Double): Double = Pi * pow(radius, 2.0)
}
val circle1 = Circle(5.0)
circle1.area
class Circle
は各インスタンスの固有のメンバーarea
を持ち、シングルトンオブジェクトobject Circle
は全てのインスタンスで利用できるcalculateArea
メソッドを持ちます。
コンパニオンオブジェクトはファクトリーメソッドを含むことができます。
class Email(val username: String, val domainName: String)
object Email {
def fromString(emailString: String): Option[Email] = {
emailString.split('@') match {
case Array(a, b) => Some(new Email(a, b))
case _ => None
}
}
}
val scalaCenterEmail = Email.fromString("[email protected]")
scalaCenterEmail match {
case Some(email) => println(
s"""Registered an email
|Username: ${email.username}
|Domain name: ${email.domainName}
""".stripMargin)
case None => println("Error: could not parse email")
}
object Email
はファクトリーfromString
を持ち、StringからEmail
インスタンスを作ります。
パースエラーの場合も考えて、返り値の型をOption[Email]
とします。
注意:クラスまたはオブジェクトがコンパニオンを持つ場合、クラス、オブジェクトの両方は同じファイルの中に定義されていなければなりません。
REPL内でコンパニオンを定義する場合は、それらを同じ行で定義するか、:paste
モードに入ります。
Javaプログラマのための注意事項
Javaにおけるstatic
メンバーはScalaではコンパニオンオブジェクトの一般メンバーとして作られています。
Javaのコードからコンパニオンオブジェクトを使う場合、メンバーはコンパニオンクラス内でstatic
識別子を用いて定義されます。
これはstatic forwardingと呼ばれます。
これはコンパニオンクラスを自分で定義していなかったとしても起きます。